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〘447㌻〙

第1章

1 神かみむかしは預言者よげんしゃ等たちにより、多おほくに分󠄃わかち、多おほくの方法はうほふをもて先祖せんぞたちに語かたり給たまひしが、 2 この末すゑの世よには御子みこによりて、我われらに語かたり給たまへり。神かみは曾かつて御子みこを立たてて萬よろづの物ものの世嗣よつぎとなし、また御子みこによりて諸般もろもろの世界せかいを造󠄃つくり給たまへり。 3 御子みこは神かみの榮光えいくわうのかがやき、神かみの本質ほんしつの像󠄃かたにして、己おのが權能ちからの言ことばをもて萬よろづの物ものを保たもちたまふ。また罪つみの潔󠄄きよめをなして、高たかき處ところにある稜威󠄂みいつの右みぎに坐ざし給たまへり。 4 その受うけ給たまひし名なの御使󠄃みつかひの名なに勝󠄃まされるごとく、御使󠄃みつかひよりは更󠄃さらに勝󠄃まさる者ものとなり給たまへり。 5 神かみは孰いづれの御使󠄃みつかひに曾かつて斯かくは言いひ給たまひしぞ『なんぢは我わが子こなり、われ今日けふなんぢを生うめり』と。また 『われ彼かれの父󠄃ちちとなり、 彼かれわが子ことならん』と。 6 また初子うひごを再ふたゝび世よに入いれ給たまふとき 『神かみの凡すべての使󠄃つかひは之これを拜はいすべし』と言いひ給たまふ。 7 また御使󠄃みつかひたちに就つきては 『神かみは、その使󠄃つかひたちを風かぜとなし、 その事つかふる者ものを焰ほのほとなす』と言いひ給たまふ。 8 されど御子みこに就つきては 『神かみよ、なんぢの御座みくらは世々よゝ限かぎりなく、 汝なんぢの國くにの杖つゑは正たゞしき杖つゑなり。 9 なんぢは義ぎを愛あいし、不法ふほふをにくむ。 この故ゆゑに神かみなんぢの神かみは、歡喜よろこびの油あぶらを汝なんぢの友ともに勝󠄃まさりて汝なんぢにそそぎ給たまへり』と。 10 また 『主しゅよ、なんぢ太初はじめに地ちの基もとゐを置おきたまへり、 天てんも御手みての業わざなり。 11 これらは滅ほろびん、されど汝なんぢは常つねに存ながらへたまはん。 此等これらはみな衣ころものごとく舊ふるびん。 12 而しかして汝なんぢこれらを袍うはぎのごとく疊たゝみ給たまはん、此等これらは衣ころものごとく變かはらん。 然されど汝なんぢは變かはり給たまふことなく 汝なんぢの齡よはひは終󠄃をはらざるなり』と言いひたまふ。
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13 又󠄂またいづれの御使󠄃みつかひに曾かつて斯かくは言いひ給たまひしぞ 『われ汝なんぢの仇あたを汝なんぢの足臺あしだいとなすまでは、 我わが右みぎに坐ざせよ』と。〘325㌻〙 14 御使󠄃みつかひはみな事つかへまつる靈れいにして、救すくひを嗣つがんとする者もののために職つとめを執とるべく遣󠄃つかはされたる者ものにあらずや。

第2章

1 この故ゆゑに我われら聞ききし所󠄃ところをいよいよ篤あつく愼つゝしむべし、恐おそらくは流ながれ過󠄃すぐる事ことあらん。 2 若もし御使󠄃みつかひによりて語かたり給たまひし言ことばすら堅かたくせられて、咎とがと不ふ從順じゅうじゅんとみな正たゞしき報むくいを受うけたらんには、 3 我われら斯かくのごとき大おほいなる救すくひを等閑なほざりにして爭いかでか遁󠄅のがるることを得えん。この救すくひは初はじめ主しゅによりて語かたり給たまひしものにして、聞ききし者ものども之これを我われらに確かたうし、 4 神かみまた徴しるしと不思議ふしぎと、さまざまの能力ちからある業わざと、御旨みむねのままに分󠄃わかち與あたふる聖󠄃せい靈れいとをもて證あかしを加くはへたまへり。

5 それ神かみは我われらの語かたるところの來きたらんとする世界せかいを御使󠄃みつかひたちには服󠄃したがはせ給たまはざりき。 6 或ある篇󠄂へんに人ひと、證あかしして言いふ 『人ひとは如何いかなる者ものなれば、 之これを御心みこゝろにとめ給たまふか。 人ひとの子こは如何いかなる者ものなれば、 之これを顧󠄃かへりみ給たまふか。 7 汝なんぢこれを[*]御使󠄃みつかひよりも少すこしく卑ひくうし、 光榮くわうえいと尊󠄅貴たふときとを冠かむらせ、[*或は「しばしば御使󠄃よりも卑うし」と譯す。] 8 萬よろづの物ものをその足あしの下したの服󠄃したがはせ給たまへり』と。旣󠄁すでに萬よろづの物ものを之これに服󠄃したがはせ給たまひたれば、服󠄃したがはぬものは一ひとつだに殘のこさるる事ことなし。されど今いまもなほ我われらは萬よろづの物ものの之これに服󠄃したがひたるを見みず。 9 ただ御使󠄃みつかひよりも少すこしく卑ひくくせられしイエスの、死しの苦難くるしみを受うくるによりて榮光えいくわうと尊󠄅貴たふときとを冠かむらせられ給たまへるを見みる。これ神かみの恩惠めぐみによりて萬民ばんみんのために死しを味あぢはひ給たまはんとてなり。 10 それ多おほくの子こを光榮くわうえいに導󠄃みちびくに、その救すくひの君きみを苦難くるしみによりて全󠄃まったうし給たまふは、萬よろづの物ものの歸きするところ、萬よろづの物ものを造󠄃つくりたまふ所󠄃ところの者ものに相應ふさはしき事ことなり。
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11 潔󠄄きよめたまふ者ものも、潔󠄄きよめらるる者ものも、皆みなただ一ひとつより出いづ。この故ゆゑに彼かれらを兄弟きゃうだいと稱󠄄となふるを恥はぢとせずして言いひ給たまふ、 12 『われ御名みなを我わが兄弟きゃうだいたちに吿つげ、 集會つどひの中うちにて汝なんぢを讃ほめ歌うたはん』 13 また 『われ彼かれに依より賴たのまん』又󠄂また 『視みよ、我われと神かみの我われに賜たまひし子こ等らとは………』と。 14 子こ等らはともに血肉󠄁けつにくを具󠄄そなふれば、主しゅもまた同おなじく之これを具󠄄そなへ給たまひしなり。これは死しの權力ちからを有󠄃もつもの、即すなはち惡魔󠄃あくまを死しによりて亡ほろぼし、〘326㌻〙 15 かつ死しの懼おそれによりて生涯しゃうがい奴隷どれいとなりし者ものどもを解放ときはなち給たまはんためなり。 16 實げに主しゅは御使󠄃みつかひを扶たすけずしてアブラハムの裔すゑを扶たすけたまふ。 17 この故ゆゑに、神かみの事ことにつきて憐憫あはれみある忠實ちゅうじつなる大だい祭司さいしとなりて、民たみの罪つみを贖あがなはんために、凡すべての事ことにおいて兄弟きゃうだいの如ごとくなり給たまひしは宜うべなり。 18 主しゅは[*]自みづから試こゝろみられて苦くるしみ給たまひたれば、試こゝろみられるる者ものを助たすけ得うるなり。[*或は「自ら苦しみて試みられ給ひたれば」と譯す。]

第3章

1 されば共ともに天てんの召めしを蒙かうむれる聖󠄃せいなる兄弟きゃうだいよ、我われらが言いひあらはす信仰しんかうの使󠄃徒しとたり大だい祭司さいしたるイエスを思おもひ見みよ。 2 彼かれの己おのれを立たて給たまひし者ものに忠實ちゅうじつなるは、モーセが神かみの全󠄃家ぜんかに忠實ちゅうじつなりしが如ごとし。 3 家いへを造󠄃つくる者ものの家いへより勝󠄃まさりて尊󠄅たふとばるる如ごとく、彼かれもモーセに勝󠄃まさりて大おほいなる榮光えいくわうを受うくるに相應ふさはしき者ものとせられ給たまへり。 4 家いへは凡すべて之これを造󠄃つくる者ものあり、萬よろづの物ものを造󠄃つくり給たまひし者ものは神かみなり。 5 モーセは後のちに語かたり傳つたへられんと爲することの證あかしをせんために、僕しもべとして神かみの全󠄃家ぜんかに忠實ちゅうじつなりしが、 6 キリストは子ことして神かみの家いへを忠實ちゅうじつに掌つかさどり給たまへり。我等われらもし確信かくしんと希望󠄇のぞみの誇ほこりとを終󠄃をはりまで堅かたく保たもたば、神かみの家いへなり。 7 この故ゆゑに聖󠄃せい靈れいの言いひ給たまふごとく 『今日けふなんぢら神かみの聲こゑを聞きかば、 8 その怒いかりを惹ひきし時ときのごとく、 荒野あらのの嘗試こゝろみの日ひのごとく、 心こゝろを頑󠄂固かたくなにする勿なかれ。 9 彼處かしこにて汝なんぢらの先祖せんぞたちは我われを試こゝろみて驗ためし、かつ四十しじふ年ねんの間あひだ、わが業わざを見みたり。
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10 この故ゆゑに我われこの代よの人ひとを憤いきどほりて云いへり、「彼かれらは常つねに心こゝろ迷󠄃まよひ、 わが途󠄃みちを知しらざりき」と。 11 われ怒いかりをもて「彼かれらは我わが休やすみに入いるべからず」と誓ちかへり』 12 兄弟きゃうだいよ、心こゝろせよ、恐おそらくは汝なんぢ等らのうち活いける神かみを離はなれんとする不ふ信仰しんかうの惡あしき心こゝろを懷いだく者ものあらん。 13 汝なんぢ等らのうち誰たれも罪つみの誘惑まどはしによりて頑󠄂固かたくなにならぬやう、今日けふと稱󠄄となふる間うちに日々ひゞ互たがひに相あひ勸󠄂すゝめよ。 14 もし始はじめの確信かくしんを終󠄃をはりまで堅かたく保たもたば、我われらはキリストに與あづかる者ものとなるなり。 15 それ 『今日けふなんぢら神かみの聲こゑを聞きかば、その怒いかりを惹ひきし時ときのごとく、心こゝろを頑󠄂固かたくなにする勿なかれ』と云いへ。〘327㌻〙 16 然されば聞ききてなほ怒いかりを惹ひきし者ものは誰たれなるか、モーセによりてエジプトを出いでし凡すべての人ひとにあらずや。 17 また四十しじふ年ねんのあひだ、神かみは誰たれに對たいして憤いきどほり給たまひしか、罪つみを犯をかしてその死屍しかばねを荒野あらのに橫よこたへし人々ひとびとにあらずや。 18 又󠄂またかれらは我わが安息やすみに入いるべからずとは、誰たれに對たいして誓ちかひ給たまひしか、不ふ從順じゅうじゅんなる者ものにあらずや。 19 之これによりて見みれば、彼かれらの入いること能あたはざりしは、不ふ信仰しんかうによりてなり。

第4章

1 然されば我われら懼おそるべし、その安息やすみに入いるべき約束やくそくはなほ遺󠄃のこれども、恐おそらくは汝なんぢらの中うちこれに達󠄃たっせざる者ものあらん。 2 そは彼かれらのごとく我われらも善よき音󠄃信おとづれを傳つたへられたり、然されど彼かれらには聞ききし所󠄃ところの言ことば益えきなかりき。聞きくもの之これに信仰しんかうをまじへざりしに因よる。 3 われら信しんじたる者ものは、かの休やすみに入いることを得うるなり。 『われ怒いかりをもて「彼かれらは、 わが休やすみに入いるべからず」と誓ちかへり』と云いひ給たまひしが如ごとし。されど世よの創はじめより御業みわざは旣󠄁すでに成󠄃なれるなり。 4 或ある篇󠄂へんに七日なぬかめに就つきて斯かく云いへり『七日なぬかめに神かみその凡すべての業わざを休やすみたまへり』と。 5 また茲こゝに 『かれらは、 我わが休やすみに入いるべからず』と云いへり。 6 然されば之これに入いるべき者ものなほ在あり、曩さきに善よき音󠄃信おとづれを傳つたへられし者ものらは、不ふ從順じゅうじゅんによりて入いることを得えざりしなれば、
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7 久ひさしきを經へてのち復また、日ひを定さだめダビデによりて『今日けふ』と言いひ給たまふ。曩さきに記しるしたるが如ごとし。曰いはく 『今日けふなんぢら神かみの聲こゑを聞きかば、 心こゝろを頑󠄂固かたくなにする勿なかれ』 8 若もしヨシュア旣󠄁すでに休やすみを彼かれらに得えしめしならば、神かみはその後のち、ほかの日ひにつきて語かたり給たまはざりしならん。 9 然されば神かみの民たみの爲ためになほ安息あんそくは遺󠄃のこれり。 10 旣󠄁すでに神かみの休やすみに入いりたる者ものは、神かみのその業わざを休やすみ給たまひしごとく、己おのが業わざを休やすめり。 11 されば我等われらはこの休やすみに入いらんことを努つとむべし、是これかの不ふ從順じゅうじゅんの例れいにならひて誰たれも墮おつることなからん爲ためなり。 12 神かみの言ことばは生命いのちあり、能力ちからあり、兩刃󠄃もろはの劍つるぎよりも利とくして、精神せいしんと靈魂たましひ、關節󠄄ふしぶしと骨髓こつずゐを透󠄃とほして之これを割󠄅わかち、心こゝろの念おもひと志望󠄇こゝろざしとを驗ためすなり。 13 また造󠄃つくられたる物ものに一ひとつとして神かみの前󠄃まへに顯あらはれぬはなし、萬よろづの物ものは我われらが係かゝはれる神かみの目めのまへに裸はだかにて露あらはるるなり。〘328㌻〙 14 我等われらには、もろもろの天てんを通󠄃とほり給たまひし偉󠄅おほひなる大だい祭司さいし、神かみの子こイエスあり。然されば我われらが言いひあらはす信仰しんかうを堅かたく保たもつべし。 15 我われらの大だい祭司さいしは我われらの弱󠄃よわきを思おもひ遣󠄃やること能あたはぬ者ものにあらず、罪つみを外ほかにして凡すべての事こと、われらと等ひとしく試こゝろみられ給たまへり。 16 この故ゆゑに我われらは憐憫あはれみを受うけんが爲ため、また機をりに合あふ助たすけとなる惠めぐみを得えんがために、憚はゞからずして惠めぐみの御座みざに來きたるべし。

第5章

1 凡おほよそ大だい祭司さいしは人ひとの中うちより選󠄄えらばれ、罪つみのために供物そなへものと犧牲いけにへとを献さゝげんとて、人ひとにかはりて神かみに事つかふることを任にんぜらる。 2 彼かれは自みづからも弱󠄃よわきに纒󠄂まとはるるが故ゆゑに、無知むちなるもの迷󠄃まよへる者ものを思おもひ遣󠄃やることを得うるなり。
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3 之これによりて民たみのために爲なすごとく、また己おのれのためにも罪つみに就つきて献物さゝげものをなさざるべからず。 4 又󠄂またこの貴たふとき位くらゐはアロンのごとく神かみに召めさるるにあらずば、誰たれも自みづから之これを取とる者ものなし。 5 斯かくの如ごとくキリストも己おのれを崇あがめて自みづから大だい祭司さいしとなり給たまはず。之これに向むかひて 『なんぢは我わが子こなり、 われ今日けふなんぢを生うめり』と語かたり給たまひし者もの、これを立たてたり。 6 また他ほかの篇󠄂へんに 『なんぢは永遠󠄄とこしへにメルキゼデクの位くらゐに等ひとしき祭司さいしたり』と言いひ給たまへるが如ごとし。 7 キリストは肉󠄁體にくたいにて在いまししとき、大おほいなる叫さけびと淚なみだとをもて、己おのれを死しより救すくひ得うる者ものに祈いのりと願ねがひとを献さゝげ、その恭敬うやうやしきによりて聽きかれ給たまへり。 8 彼かれは御子みこなれど、受うけし所󠄃ところの苦難くるしみによりて從順じゅうじゅんを學まなび、 9 かつ全󠄃まったうせられたれば、凡すべて己おのれに順したがふ者もののために永遠󠄄とこしへの救すくひの原もととなりて、 10 神かみよりメルキゼデクの位くらゐに等ひとしき大だい祭司さいしと稱󠄄となへられ給たまへり。

11 之これに就つきて我われら多おほくの言いふべき事ことあれど、汝なんぢら聞きくに鈍にぶくなりたれば釋とき難かたし。 12 なんぢら時ときを經ふること久ひさしければ、敎師けうしとなるべき者ものなるに、今いままた神かみの言ことばの初步しょほを人ひとより敎をしへられざるを得えず、汝なんぢらは堅かたき食󠄃物しょくもつならで乳󠄃ちゝを要󠄃えうする者ものとなれり。 13 おほよそ乳󠄃ちゝを用もちふる者ものは幼兒をさなごなれば、未いまだ義ぎの言ことばに熟じゅくせず、 14 堅かたき食󠄃物しょくもつは智力ちりょくを練習󠄃れんしふして善惡ぜんあくを辨わきまふる成󠄃人おとなの用もちふるものなり。

第6章

1 この故ゆゑに我われらはキリストの敎をしへの初步しょほに止とゞまることなく、再ふたゝび死しにたる行爲おこなひの悔改くいあらためと神かみに對たいする信仰しんかうとの基もとゐ、 2 また各樣さまざまのバプテスマと按手あんしゅと、死人しにんの復活よみがへりと永遠󠄄とこしへの審判󠄄さばきとの敎をしへの基もとゐを置おかずして、完全󠄃まったきに進󠄃すゝむべし。〘329㌻〙 3 神かみもし許ゆるし給たまはば、我われら之これをなさん。 4 一ひとたび照てらされて天てんよりの賜物たまものを味あぢはひ、聖󠄃せい靈れいに與あづかる者ものとなり、
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5 神かみの善よき言ことばと來世らいせいの能力ちからとを味あぢはひて後のち、 6 墮落だらくする者ものは、更󠄃さらにまた自みづから神かみの子こを十字架じふじかに釘つけて肆さらし者ものとする故ゆゑに、再ふたゝびこれを悔改くいあらために立返󠄄たちかへらすること能あたはざるなり。 7 それ地ちしばしば其その上うへに降󠄄ふる雨あめを吸すひ入いれて、耕󠄃たがやす者ものの益えきとなるべき作物さくもつを生しゃうぜば、神かみより祝福しくふくを受うく。 8 されど茨いばらと薊あざみとを生しゃうぜば、棄すてられ、かつ詛のろひに近󠄃ちかく、その果はては焚やかるるなり。

9 愛あいする者ものよ、われら斯かくは語かたれど、汝なんぢらには更󠄃さらに善よきこと、即すなはち救すくひにかかはる事ことあるを深ふかく信しんず。 10 神かみは不義ふぎに在いまさねば、汝なんぢらの勤勞はたらきと、前󠄃さきに聖󠄃徒せいとにつかへ、今いまもなほ之これに事つかへて御名みなのために顯あらはしたる愛あいとを忘󠄃わすれ給たまふことなし。 11 我われらは汝なんぢ等らがおのおの終󠄃をはりまで前󠄃まへと同おなじ勵はげみをあらはして全󠄃まったき望󠄇のぞみを保たもち、 12 怠おこたることなく、信仰しんかうと耐忍󠄄しのびとをもて約束やくそくを嗣つぐ人々ひとびとに效ならはんことを求もとむ。

13 それ神かみはアブラハムに約やくし給たまふとき、指さして誓ちかふべき己おのれより大おほいなる者ものなき故ゆゑに、己おのれを指さして誓ちかひて言いひ給たまへり、 14 『われ必かならず、なんぢを惠めぐみ惠めぐまん、なんぢを殖ふやし殖ふやさん』と、 15 斯かくの如ごとくアブラハムは耐たへ忍󠄄しのびて約束やくそくのものを得えたり。 16 おほよそ人ひとは己おのれより大おほいなる者ものを指さして誓ちかふ、その誓ちかひはすべての爭論あらそひを罷やむる保證ほしょうたり。 17 この故ゆゑに神かみは約束やくそくを嗣つぐ者ものに御旨みむねの變かはらぬことを充分󠄃じゅうぶんに示しめさんと欲ほっして誓ちかひを加くはへ給たまへり。 18 これ神かみの謊󠄃いつはること能あたはぬ二ふたつの變かはらぬものによりて、己おのれの前󠄃まへに置おかれたる希望󠄇のぞみを捉とらへんとて遁󠄅のがれたる我われらに强つよき奬勵しゃうれいを與あたへん爲ためなり。 19 この希望󠄇のぞみは我われらの靈魂たましひの錨いかりのごとく安全󠄃あんぜんにして動うごかず、かつ幔まくの內うちに入いる。 20 イエス我等われらのために前󠄃驅さきがけし、永遠󠄄とこしへにメルキゼデクの位くらゐに等ひとしき大だい祭司さいしとなりて、その處ところに入いり給たまへり。
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第7章

1 此このメルキゼデクはサレムの王わうにて至高いとたかき神かみの祭司さいしたりしが、王わうたちを破やぶりて還󠄃かへるアブラハムを迎󠄃むかへて祝福しくふくせり。 2 アブラハムは彼かれに凡すべての物ものの十分󠄃じふぶんの一いちを分󠄃わけ與あたへたり。その名なを釋とけば第一だいいちに義ぎの王わう、次󠄄つぎにサレムの王わう、すなはち平󠄃和へいわの王わうなり。 3 父󠄃ちちなく、母ははなく、系圖󠄃けいづなく、齡よはひの始はじめなく、生命いのちの終󠄃をはりなく、神かみの子この如ごとくにして限かぎりなく祭司さいしたり。〘330㌻〙

4 先祖せんぞアブラハム分󠄃捕物ぶんどりもののうち十分󠄃じふぶんの一いち、最もっとも善よき物ものを之これに與あたへたれば、その人ひとの如何いかに尊󠄅たふときかを思おもふべし。 5 レビの子こ等らのうち祭司さいしの職つとめを受うくる者ものは、律法おきてによりて民たみ、即すなはちアブラハムの腰󠄃こしより出いでたる己おのが兄弟きゃうだいより、十分󠄃じふぶんの一いちを取とることを命めいぜらる。 6 されど此この血脈󠄄ちすぢにあらぬ彼かれは、アブラハムより十分󠄃じふぶんの一いちを取とりて約束やくそくを受うけし者ものを祝福しくふくせり。 7 それ小せうなる者ものの大だいなる者ものに祝福しくふくせらるるは論ろんなき事ことなり。 8 かつ此所󠄃ここにては死しぬべき者もの十分󠄃じふぶんの一いちを受うくれども、彼處かしこにては『活いくるなり』と證あかしせられた者もの、これを受うく。 9 また十分󠄃じふぶんの一いちを受うくるレビすら、アブラハムに由よりて十分󠄃じふぶんの一いちを納󠄃をさめたりと云いふも可かなり。 10 そはメルキゼデクのアブラハムを迎󠄃むかへし時ときに、レビはなほ父󠄃ちちの腰󠄃こしに在ありたればなり。

11 もしレビの系すぢなる祭司さいしによりて全󠄃まったうせらるる事ことありしならば(民たみは之これによりて律法おきてを受うけたり)何なにぞなほ他ほかにアロンの位くらゐに等ひとしからぬメルキゼデクの位くらゐに等ひとしき祭司さいしの起󠄃おこる必要󠄃ひつえうあらんや。 12 祭司さいしの易かはる時ときには律法おきても亦また必かならず易かはるべきなり。 13 此これ等らのことは曾かつて祭壇さいだんに事つかへたることなき他ほかの族やからに屬ぞくする者ものをさして云いへるなり。 14 それ我われらの主しゅのユダより出いで給たまへるは明あきらかにして、此この族やからにつき、モーセは聊いさゝかも祭司さいしに係かゝはることを云いはざりき。
 454㌻ 
15 -16 又󠄂またメルキゼデクのごとき他ほかの祭司さいしおこり、肉󠄁にくの誡命いましめの法のりに由よらず、朽くちざる生命いのちの能力ちからによりて立たてられたれば、我わが言いふ所󠄃ところいよいよ明あきらかなり。 17 そは『なんぢは永遠󠄄とこしへにメルキゼデクの位くらゐに等ひとしき祭司さいしたり』と證あかしせられ給たまへばなり。 18 前󠄃さきの誡命いましめは弱󠄃よわく、かつ益えきなき故ゆゑに廢はいせられ、 19 (律法おきては何なにをも全󠄃まったうせざりしなり)更󠄃さらに優すぐれたる希望󠄇のぞみを置おかれたり、この希望󠄇のぞみによりて我われらは神かみに近󠄃ちかづくなり。 20 かの人々ひとびとは誓ちかひなくして祭司さいしとせられたれども、 21 彼かれは誓ちかひなくしては爲せられず、誓ちかひをもて祭司さいしとせられ給たまへり。即すなはち彼かれに就つきて 『主しゅちかひて悔くい給たまはず、 「なんぢは永遠󠄄とこしへに祭司さいしたり」』と言いひ給たまひしが如ごとし。 22 イエスは斯かくも優すぐれたる契󠄅約けいやくの保證ほしょうとなり給たまへり。 23 かの人々ひとびとは死しによりて永ながくその職つとめに留とゞまることを得えざる故ゆゑに、祭司さいしとなりし者ものの數󠄄かず多おほかりき。 24 されど彼かれは永遠󠄄とこしへに在いませば易かはることなき祭司さいしの職つとめを保たもちたまふ。 25 この故ゆゑに彼かれは己おのれに賴よりて神かみにきたる者もののために執成󠄃とりなしをなさんとて常つねに生いくれば、之これを全󠄃まったく救すくふことを得給えたまふなり。〘331㌻〙

26 斯かくのごとき大だい祭司さいしこそ我われらに相應ふさはしき者ものなれ、即すなはち聖󠄃せいにして惡あくなく、穢けがれなく、罪人つみびとより遠󠄄とほざかり、諸般もろもろの天てんよりも高たかくせられ給たまへり。 27 他ほかの大だい祭司さいしのごとく先まづ己おのれの罪つみのため、次󠄄つぎに民たみの罪つみのために日々ひゞ犧牲いけにへを献さゝぐるを要󠄃えうし給たまはず、その一ひとたび己おのれを献さゝげて之これを成󠄃なし給たまひたればなり。 28 律法おきては弱󠄃よわみある人々ひとびとを立たてて大だい祭司さいしとすれども、律法おきての後のちなる誓ちかひの御言みことばは、永遠󠄄とこしへに全󠄃まったうせられ給たまへる御子みこを大だい祭司さいしとなせり。
 455㌻ 

第8章

1 今いまいふ所󠄃ところの要󠄃點えうてんは斯かくのごとき大だい祭司さいしの我われらにある事ことなり。彼かれは天てんにては稜威󠄂みいつの御座みくらの右みぎに坐ざし、 2 聖󠄃所󠄃せいじょおよび眞󠄃まことの幕屋まくやに事つかへたまふ。この幕屋まくやは人ひとの設まうくるものにあらず、主しゅの設まうけたまふ所󠄃ところなり。 3 おほよそ大だい祭司さいしの立たてらるるは供物そなへものと犧牲いけにへとを献さゝげん爲ためなり、この故ゆゑに彼かれもまた献さゝぐべき物ものあるべきなり。 4 然しかるに若もし地ちに在いまさば旣󠄁すでに律法おきてに循したがひて供物そなへものを献さゝぐる祭司さいし等らあるによりて祭司さいしとはなり給たまはざるべし。 5 彼かれらの事つかふるは、天てんにある物ものの型かたと影かげとなり。モーセが幕屋まくやを建󠄄たてんとする時ときに『愼つゝしめ、山やまにて汝なんぢが示しめされたる式かたに效ならひて凡すべての物ものを造󠄃つくれ』との御吿みつげを受うけしが如ごとし。 6 されどキリストは更󠄃さらに勝󠄃まされる約束やくそくに基もとづきて立たてられし勝󠄃まされる契󠄅約けいやくの中保なかだちとなりたれば、更󠄃さらに勝󠄃まさる職つとめを受うけ給たまへり。 7 かつ初はじめの契󠄅約けいやくもし虧かくる所󠄃ところなくば、第二だいにの契󠄅約けいやくを求もとむる事ことなかりしならん。 8 然しかるに彼かれらを咎とがめて言いひ給たまふ 『主しゅいひ給たまふ「視みよ、 我われイスラエルの家いへとユダの家いへとに、 新あたらしき契󠄅約けいやくを設まうくる日ひ來きたらん。 9 この契󠄅約けいやくは我われかれらの先祖せんぞの手てを執とりて、 エジプトの地ちより導󠄃みちびき出いだしし時ときに立たてし所󠄃ところの如ごときに非あらず。 彼かれらは我わが契󠄅約けいやくに止とゞまらず、 我われも彼かれらを顧󠄃かへりみざりしなり」と、主しゅいひ給たまふ。 10 「然されば、かの日ひの後のちに我わがイスラエルの家いへと立たつる契󠄅約けいやくは是これなり」と主しゅいひ給たまふ。 「われ我わが律法おきてを彼かれらの念おもひに置おき、 その心こゝろに之これを記しるさん、 また我われかれらの神かみとなり、 彼かれらは我わが民たみとならん。 11 彼かれ等らはまた各人おのおのその國人くにびとに、 その兄弟きゃうだいに敎をしへて、 なんぢ主しゅを知しれと言いはざるべし。 そは小せうより大だいに至いたるまで、 皆みなわれを知しらん。〘332㌻〙 12 我われもその不義ふぎを憐あはれみ、 この後のちまた其その罪つみを思おもひ出いでざるべし」』と。 13 旣󠄁すでに『新あたらし』と言いひ給たまへば、初はじめのものを舊ふるしとし給たまへるなり、舊ふるびて衰󠄄おとろふるものは、消󠄃失きえうせんとするなり。
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第9章

1 初はじめの契󠄅約けいやくには禮拜れいはいの定さだめと世よに屬ぞくする聖󠄃所󠄃せいじょとありき。 2 設まうけられたる幕屋まくやあり、前󠄃まへなるを聖󠄃所󠄃せいじょと稱󠄄となへ、その中うちに燈臺とうだいと案つくゑと供そなへのパンとあり。 3 また第二だいにの幕まくの後うしろに至し聖󠄃所󠄃せいじょと稱󠄄となふる幕屋まくやあり。 4 その中うちに金きんの香壇かうだんと金きんにて徧あまねく覆󠄄おほひたる契󠄅約けいやくの櫃ひつとあり、この中うちにマナを納󠄃いれたる金きんの壺つぼと芽めざしたるアロンの杖つゑと契󠄅約けいやくの石碑いしぶみとあり、 5 櫃ひつの上うへに榮光えいくわうのケルビムありて贖罪所󠄃しょくざいしょを覆󠄄おほふ。これらの物ものに就つきては、今いま一々いちいち言いふこと能あたはず、 6 此これ等らのもの斯かく備そなはりたれば、祭司さいしたちは常つねに前󠄃まへなる幕屋まくやに入いりて禮拜れいはいをおこなふ。 7 されど奧おくなる幕屋まくやには大だい祭司さいしのみ年としに一度ひとたびおのれと民たみとの過󠄃失あやまちのために献さゝぐる血ちを携たづさへて入いるなり。 8 之これによりて聖󠄃せい靈れいは前󠄃まへなる幕屋まくやのなほ存そんするあひだ、至し聖󠄃所󠄃せいじょに入いる道󠄃みちの未いまだ顯あらはれざるを示しめし給たまふ。 9 この幕屋まくやはその時ときのために設まうけられたる比喩󠄄たとへなり、之これに循したがひて献さゝげたる供物そなへものと犧牲いけにへとは、禮拜れいはいをなす者ものの良心りゃうしんを全󠄃まったうすること能あたはざりき。 10 此これ等らはただ食󠄃物くひもの・飮物のみものさまざまの濯󠄄事すゝぎごとなどに係かゝはり、肉󠄁にくに屬ぞくする定さだめにして、改革かいかくの時ときまで負󠄅おはせられたるのみ。

11 然されどキリストは來きたらんとする善よき事ことの大だい祭司さいしとして來きたり、手てにて造󠄃つくらぬ此この世よに屬ぞくせぬ更󠄃さらに大おほいなる全󠄃まったき幕屋まくやを經へて、 12 山羊やぎと犢こうしとの血ちを用もちひず、己おのが血ちをもて只たゞ一ひとたび至し聖󠄃所󠄃せいじょに入いりて、永遠󠄄とこしへの贖罪あがなひを終󠄃をへたまへり。 13 もし山羊やぎおよび牡牛をうしの血ち、牝牛めうしの灰󠄃はひなどを穢けがれし者ものにそそぎて其その肉󠄁體にくたいを潔󠄄きよむることを得えば、 14 まして永遠󠄄とこしへの御靈みたまにより瑕きずなくして己おのれを神かみに献さゝげ給たまひしキリストの血ちは、我われらの良心りゃうしんを死しにたる行爲おこなひより潔󠄄きよめて活いける神かみに事つかへしめざらんや。
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15 この故ゆゑに彼かれは新あたらしき契󠄅約けいやくの中保なかだちなり。これ初はじめの契󠄅約けいやくの下したに犯をかしたる咎とがを贖あがなふべき死しあるによりて、召めされたる者ものに約束やくそくの永遠󠄄とこしへの嗣業しげふを受うけさせん爲ためなり。 16 それ[*]遺󠄃言ゆゐごんは必かならず[△]遺󠄃言ゆゐごん者しゃの死しを要󠄃えうす。[*原語「契󠄅約」との義もあり。△原語「契󠄅約者」との義もあり。] 17 遺󠄃言[*]ゆゐごんは[△]遺󠄃言ゆゐごん者しゃ死しにてのち始はじめて效かうあり、[△]遺󠄃言ゆゐごん者しゃの生いくる間あひだは效かうなきなり。[*原語「契󠄅約」との義もあり。△原語「契󠄅約者」との義もあり。] 18 この故ゆゑに初はじめの契󠄅約けいやくも血ちなくして立たてしにあらず。 19 モーセ律法おきてに循したがひて諸般もろもろの誡命いましめをすべての民たみに吿つげてのち、犢こうしと山羊やぎとの血ち、また水みづと緋色ひいろの毛けとヒソプとをとりて書ふみおよび凡すべての民たみにそそぎて言いふ、〘333㌻〙 20 『これ神かみの汝なんぢらに命めいじたまふ契󠄅約けいやくの血ちなり』と。 21 また同おなじく幕屋まくやと祭まつりのすべての器うつはとに血ちをそそげり。 22 おほよそ律法おきてによれば、萬よろづのもの血ちをもて潔󠄄きよめらる、もし血ちを流ながすことなくば、赦ゆるさるることなし。

23 この故ゆゑに天てんに在あるものに象かたどりたる物ものは此これ等らにて潔󠄄きよめられ、天てんにある物ものは此これ等らに勝󠄃まさりたる犧牲いけにへをもて潔󠄄きよめらるべきなり。 24 キリストは眞󠄃まことのものに象かたどれる、手てにて造󠄃つくりたる聖󠄃所󠄃せいじょに入いらず、眞󠄃まことの天てんに入いりて今いまより我等われらのために神かみの前󠄃まへにあらはれ給たまふ。 25 これ大だい祭司さいしが年としごとに他ほかの物ものの血ちをもて聖󠄃所󠄃せいじょに入いるごとく、屡次󠄄しばしばおのれを獻さゝぐる爲ためにあらず。 26 もし然しからずば世よの創はじめより以來このかたしばしば苦難くるしみを受うけ給たまふべきなり。然されど今いま、世よの季すゑにいたり、己おのれを犧牲いけにへとなして罪つみを除のぞかんために一ひとたび現あらはれたまへり。 27 一ひとたび死しぬることと死しにてのち審判󠄄さばきを受うくることとの人ひとに定さだまりたる如ごとく、 28 キリストも亦またおほくの人ひとの罪つみを負󠄅おはんが爲ために一ひとたび献さゝげられ、復また罪つみを負󠄅おふことなく、己おのれを待まち望󠄇のぞむ者ものに再ふたゝび現あらはれて救すくひを得えさせ給たまふべし。
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第10章

1 それ律法おきては來きたらんとする善よき事ことの影かげにして眞󠄃まことの形かたちにあらねば、年每としごとにたえず献さゝぐる同おなじ犧牲いけにへにて、神かみにきたる者ものを何時いつまでも全󠄃まったうすることを得えざるなり。 2 もし之これを得えば、禮拜れいはいをなす者もの、一ひとたび潔󠄄きよめられて復また心こゝろに罪つみを憶おぼえねば、献さゝぐることを止やめしならん。 3 然されど犧牲いけにへによりて、年としごとに罪つみを憶おぼゆるなり。 4 これ牡牛をうしと山羊やぎとの血ちは罪つみを除のぞくこと能あたはざるに因よる。 5 この故ゆゑにキリスト世よに來きたるとき言いひ給たまふ 『なんぢ犧牲いけにへと供物そなへものとを欲ほっせず、 唯たゞわが爲ために體からだを備そなへたまへり。 6 なんぢ燔祭はんさいと罪祭ざいさいとを悅よろこび給たまはず、 7 その時ときわれ言いふ「神かみよ、我われなんぢの御意みこゝろを行おこなはんとて來きたる」 我われにつきて書ふみの卷まきに錄しるされたるが如ごとし』と。 8 先さきには『汝なんぢいけにへと供物そなへものと燔祭はんさいと罪祭ざいさいと(即すなはち律法おきてに循したがひて献さゝぐる物もの)を欲ほっせず、また悅よろこばず』と言いひ、 9 後のちに『視みよ、我われなんぢの御意みこゝろを行おこなはんとて來きたる』と言いひ給たまへり。その後のちなる者ものを立たてん爲ために、その先さきなる者ものを除のぞき給たまふなり。〘334㌻〙 10 この御意みこゝろに適󠄄かなひてイエス・キリストの體からだの一ひとたび献さゝげられしに由よりて我われらは潔󠄄きよめられたり。 11 すべての祭司さいしは日每ひごとに立たちて事つかへ、いつまでも罪つみを除のぞくこと能あたはぬ同おなじ犧牲いけにへをしばしば献さゝぐ。 12 然されどキリストは罪つみのために一ひとつの犧牲いけにへを献さゝげて、限かぎりなく神かみの右みぎに坐ざし、 13 斯かくて己おのが仇あたの己おのが足臺あしだいとせられん時ときを待まちたまふ。 14 そは潔󠄄きよめらるる者ものを一ひとつの供物そなへものにて限かぎりなく全󠄃まったうし給たまふなり。 15 聖󠄃せい靈れいも亦またわれらに之これを證あかしして 16 『「この日ひの後のち、われ彼かれらと立たつる契󠄅約けいやくは是これなり」と主しゅいひ給たまふ。また 「わが律法おきてをその心こゝろに置おき、その念おもひに銘しるさん」』と言いひ給たまひて、 17 『この後のちまた彼かれらの罪つみと不法ふはふとを思おもひ出いでざるべし』と言いひたまふ。 18 斯かゝる赦ゆるしある上うへは、もはや罪つみのために献物さゝげものをなす要󠄃えうなし。
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19 然されば兄弟きゃうだいよ、我われらイエスの血ちにより、 20 その肉󠄁體にくたいたる幔まくを經へて我われらに開ひらき給たまへる新あたらしき活いける路みちより憚はばからずして至し聖󠄃所󠄃せいじょに入いることを得え、 21 かつ神かみの家いへを治をさむる大おほいなる祭司さいしを得えたれば、 22 心こゝろは濯󠄄すゝがれて良心りゃうしんの咎とがをさり、身みは淸きよき水みづにて洗あらはれ、眞󠄃まことの心こゝろと全󠄃まったき信仰しんかうとをもて神かみに近󠄃ちかづくべし。 23 また約束やくそくし給たまひし者ものは忠實ちゅうじつなれば、我われら言いひあらはす所󠄃ところの望󠄇のぞみを動うごかさずして堅かたく守まもり、 24 互たがひに相あひ顧󠄃かへりみ愛あいと善よき業わざとを勵はげまし、 25 集會あつまりをやむる或ある人ひとの習󠄃慣ならはしの如ごとくせず、互たがひに勸󠄂すゝめ合あひ、かの日ひのいよいよ近󠄃ちかづくを見みて、ますます斯かくの如ごとくすべし。

26 我等われらもし眞󠄃理しんりを知しる知識ちしきをうけたる後のち、ことさらに罪つみを犯をかして止やめずば、罪つみのために犧牲いけにへもはや無なし。 27 ただ畏おそれつつ審判󠄄さばきを待まつことと、逆󠄃さからふ者ものを焚やきつくす烈はげしき火ひとのみ遺󠄃のこるなり。 28 モーセの律法おきてを蔑なみする者ものは慈悲じひを受うくることなく、二三人にさんにんの證人しょうにんによりて死しに至いたる。 29 まして神かみの子こを蹈ふみつけ、己おのが潔󠄄きよめられし契󠄅約けいやくの血ちを潔󠄄きよからずとなし、恩惠めぐみの御靈みたまを侮あなどる者ものの受うくべき罰ばつの重おもきこと如何許いかばかりとおもふか。 30 『仇あたを復かへすは我われに在あり、われ之これを報むくいん』と言いひ、また『主しゅその民たみを審さばかん』と言いひ給たまひし者ものを我われらは知しるなり。 31 活いける神かみの御手みてに陷おちいるは畏おそるべきかな。

32 なんぢら御光みひかりを受うけしのち苦難くるしみの大おほいなる戰鬪たゝかひに耐たへし前󠄃さきの日ひを思おもひ出いでよ。 33 或あるひは誹謗そしりと患難なやみとに遭󠄃あひて觀物みものにせられ、或あるひは斯かゝることに遭󠄃あふ人ひとの友ともとなれり。〘335㌻〙 34 また囚人めしうどとなれる者ものを思おもひやり、永ながく存そんする尤もっとも勝󠄃まされる所󠄃有󠄃もちものの己おのれにあるを知しりて、我わが所󠄃有󠄃もちものを奪うばはるるをも喜よろこびて忍󠄄しのびたり。 35 されば大おほいなる報むくいを受うくべき汝なんぢらの確信かくしんを投なげすつな。
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36 なんぢら神かみの御意みこゝろを行おこなひて約束やくそくのものを受うけん爲ために必要󠄃ひつえうなるは忍󠄄耐にんたいなり。 37 『いま暫しばらくせば、 來きたるべき者ものきたらん、 遲󠄃おそからじ。 38 我われに屬つける義人ぎじんは、信仰しんかうによりて活いくべし。 もし退󠄃しりぞかば、わが心こゝろこれを喜よろこばじ』 39 然されど我われらは退󠄃しりぞきて滅亡ほろびに至いたる者ものにあらず、靈魂たましひを得うるに至いたる信仰しんかうを保たもつ者ものなり。

第11章

1 それ信仰しんかうは望󠄇のぞむところを確信かくしんし、見みぬ物ものを眞󠄃實まこととするなり。 2 古いにしへの人ひとは之これによりて證あかしせられたり。 3 信仰しんかうによりて我等われらは、もろもろの世界せかいの神かみの言ことばにて造󠄃つくられ、見みゆる物ものの顯あらはるる物ものより成󠄃ならざるを悟さとる。 4 信仰しんかうに由よりてアベルはカインよりも勝󠄃まされる犧牲いけにへを神かみに献さゝげ、之これによりて正たゞしと證あかしせられたり。神かみその供物そなへものにつきて證あかしし給たまへばなり。彼かれは死しぬれども、信仰しんかうによりて今いまなほ語かたる。 5 信仰しんかうに由よりてエノクは死しを見みぬやうに移うつされたり。神かみこれを移うつし給たまひたれば見出みいだされざりき。その移うつさるる前󠄃さきに神かみに喜よろこばるることを證あかしせられたり。 6 信仰しんかうなくしては神かみに悅よろこばるること能あたはず、そは神かみに來きたる者ものは、神かみの在いますことと神かみの己おのれを求もとむる者ものに報むくい給たまふこととを、必かならず信しんずべければなり。 7 信仰しんかうに由よりてノアは、未いまだ見みざる事ことにつきて御吿みつげを蒙かうむり、畏かしこみてその家いへの者ものを救すくはん爲ために方舟はこぶねを造󠄃つくり、かつ之これによりて世よの罪つみを定さだめ、また信仰しんかうに由よる義ぎの世嗣よつぎとなれり。 8 信仰しんかうに由よりてアブラハムは召めされしとき嗣業しげふとして受うくべき地ちに出いで往󠄃ゆけとの命めいに遵󠄅したがひ、その往󠄃ゆく所󠄃ところを知しらずして出いで往󠄃ゆけり。 9 信仰しんかうにより異國ことくにに在あるごとく約束やくそくの地ちに寓やどり、同おなじ約束やくそくを嗣つぐべきイサクとヤコブと共ともに幕屋まくやに住󠄃すめり。 10 これ神かみの營いとなみ造󠄃つくりたまふ基礎もとゐある都みやこを望󠄇のぞめばなり。 11 信仰しんかうに由よりてサラも約束やくそくしたまふ者ものの忠實ちゅうじつなるを思おもひし故ゆゑに、年とし邁すぎたれど胤たねをやどす力ちからを受うけたり。
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12 この故ゆゑに死しにたる者もののごとき一人ひとりより天てんの星ほしのごとく、また海邊󠄎うみべの數󠄄かぞへがたき砂すなのごとく夥多おびたゞしく生うまれ出いでたり。

13 彼かれ等らはみな[*]信仰しんかうを懷いだきて死しにたり、未いまだ約束やくそくの物ものを受うけざりしが、遙はるかにこれを見みて迎󠄃むかへ、地ちにては旅󠄃人たびびとまた寓やどれる者ものなるを言いひあらはせり。[*或は「信仰に隨ひて」と譯す。] 14 斯かく言いふは、己おのが故郷ふるさとを求もとむることを表あらはすなり。〘336㌻〙 15 若もしその出いでし處ところを念おもはば、歸かへるべき機をりありしなるべし。 16 されど彼かれらの慕したふ所󠄃ところは天てんにある更󠄃さらに勝󠄃まさりたる所󠄃ところなり。この故ゆゑに神かみは彼かれらの神かみと稱󠄄となへらるるを恥はぢとし給たまはず、そは彼かれ等らのために都みやこを備そなへ給たまへばなり。

17 信仰しんかうに由よりてアブラハムは試こゝろみられし時ときイサクを献さゝげたり、彼かれは約束やくそくを喜よろこび受うけし者ものなるに、その獨子ひとりごを献さゝげたり。 18 彼かれに對たいしては『イサクより出いづる者ものなんぢの裔すゑと稱󠄄となへらるべし』と云いひ給たまひしなり。 19 かれ思おもへらく、神かみは死人しにんの中うちより之これを甦よみがへらすることを得給えたまふと、乃すなはち死しより之これを受うけしが如ごとくなりき。 20 信仰しんかうに由よりてイサクは來きたらんとする事ことにつきヤコブとエサウとを祝福しくふくせり。 21 信仰しんかうに由よりてヤコブは死しぬる時ときヨセフの子こ等らをおのおの祝福しくふくし、その杖つゑの頭かしらによりて禮拜れいはいせり。 22 信仰しんかうに由よりてヨセフは生命いのちの終󠄃をはらんとする時とき、イスラエルの子こらの出いで立たつことに就つきて語かたり、又󠄂またおのが骨ほねのことを命めいじたり。 23 信仰しんかうに由よりて兩親ふたおやはモーセの生うまれたる時とき、その美うるはしき子こなるを見みて、王わうの命めいをも畏おそれずして三月󠄃みつきの間あひだこれを匿かくしたり。 24 信仰しんかうに由よりてモーセは人ひとと成󠄃なりしときパロの女むすめの子こと稱󠄄となへらるるを否いなみ、 25 罪つみのはかなき歡樂たのしみを受うけんよりは、寧むしろ神かみの民たみとともに苦くるしまんことを善よしとし、
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26 キリストに因よる謗そしりはエジプトの財寳たからにまさる大おほいなる富とみと思おもへり、これ報むくいを望󠄇のぞめばなり。 27 信仰しんかうに由よりて彼かれは王わうの憤恚いきどほりを畏おそれずしてエジプトを去されり。これ見みえざる者ものを見みるがごとく耐たふる事ことをすればなり。 28 信仰しんかうに由よりて彼かれは過󠄃越すぎこしと血ちを灑そゝぐこととを行おこなへり、これ初子うひごを滅ほろびす者ものの彼かれらに觸ふれざらん爲ためなり。 29 信仰しんかうに由よりてイスラエル人びとは紅海こうかいを乾かわける地ちのごとく渡わたりしが、エジプト人びとは然しかせんと試こゝろみて溺おぼれ死しにたり。 30 信仰しんかうに由よりて七日なぬかのあひだ廻まはりたればエリコの石垣いしがきは崩󠄃くづれたり。 31 信仰しんかうに由よりて遊󠄃女あそびめラハブは平󠄃和へいわをもて間者かんじゃを接うけたれば、不ふ從順じゅうじゅんの者ものとともに亡ほろびざりき。 32 この外ほかなにを言いふべきか、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル及および預言者よげんしゃたちに就つきて語かたらば、時とき足たらざるべし。 33 彼かれらは信仰しんかうによりて國々くに〴〵を服󠄃したがへ、義ぎをおこなひ、約束やくそくのものを得え、獅子ししの口くちをふさぎ、 34 火ひの勢力いきほひを消󠄃けし、劍つるぎの刃󠄃はをのがれ、弱󠄃よわきよりして强つよくせられ、戰爭いくさに勇󠄃いさましくなり、異國人ことくにびとの軍勢ぐんぜいを退󠄃しりぞかせたり。 35 女をんなは死しにたる者ものの復活よみがへりを得え、ある人ひとは更󠄃さらに勝󠄃まさりたる復活よみがへりを得えんために、免ゆるさるることを願ねがはずして極刑きょくけいを甘あまんじたり。 36 その他ほかの者ものは嘲󠄂笑あざけりと鞭むちと、また縲絏なはめと牢獄ひとやとの試鍊こゝろみを受うけ、〘337㌻〙 37 或ある者ものは石いしにて擊うたれ、試こゝろみられ、鐵鋸のこぎりにて挽ひかれ、劍つるぎにて殺ころされ、羊ひつじ・山羊やぎの皮かはを纒󠄂まとひて經へあるき、乏ともしくなり、惱なやまされ、苦くるしめられ、 38 (世よは彼かれらを置おくに堪たへず)荒野あらのと山やまと洞ほらと地ちの穴󠄄あなとに徨さまよへり。 39 彼かれ等らはみな信仰しんかうに由よりて證あかしせられたれども約束やくそくのものを得えざりき。 40 これ神かみは我われらの爲ために勝󠄃まさりたるものを備そなへ給たまひし故ゆゑに、彼かれらも我われらと偕ともならざれば、全󠄃まったうせらるる事ことなきなり。
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第12章

1 この故ゆゑに我われらは斯かく多おほくの證人しょうにんに雲くものごとく圍󠄃かこまれたれば、凡すべての重荷おもにと纒󠄂まとへる罪つみとを除のけ、忍󠄄耐にんたいをもて我われらの前󠄃まへに置おかれたる馳場はせばをはしり、 2 信仰しんかうの導󠄃師みちびきてまた之これを全󠄃まったうする者ものなるイエスを仰あふぎ見みるべし。彼かれはその前󠄃まへに置おかれたる歡喜よろこびのために、恥はぢをも厭いとはずして十字架じふじかをしのび、遂󠄅つひに神かみの御座みくらの右みぎに坐ざし給たまへり。 3 なんぢら倦うみ疲つかれて心こゝろを喪うしなふこと莫なからんために、罪人つみびとらの斯かく己おのれに逆󠄃さからひしことを忍󠄄しのび給たまへる者ものをおもへ。 4 汝なんぢらは罪つみと鬪たたかひて未いまだ血ちを流ながすまで抵抗てむかひしことなし。 5 また子こに吿つぐるごとく汝なんぢらに吿つげ給たまひし勸󠄂言すゝめを忘󠄃わすれたり。曰いはく 『わが子こよ、主しゅの懲戒こらしめを輕かろんずるなかれ、 主しゅに戒いましめらるるとき倦うむなかれ。 6 そは主しゅ、その愛あいする者ものを懲こらしめ、 凡すべてその受うけ給たまふ子こを鞭むちうち給たまへばなり』と。 7 汝なんぢらの忍󠄄しのぶは懲戒こらしめの爲ためなり、神かみは汝なんぢらを子このごとく待あしらひたまふ、誰たれか父󠄃ちちの懲こらしめぬ子こあらんや。 8 凡すべての人ひとの受うくる懲戒こらしめ、もし汝なんぢらに無なくば、それは私生兒かくしごにして眞󠄃まことの子こにあらず、 9 また我われらの肉󠄁體にくたいの父󠄃ちちは、我われらを懲こらしめし者ものなるに尙なほこれを敬うやまへり、况まして靈魂たましひの父󠄃ちちに服󠄃したがひて生いくることを爲せざらんや。 10 そは肉󠄁體にくたいの父󠄃ちちは暫しばらくの間あひだその心こゝろのままに懲こらしむることを爲せしが、靈魂たましひの父󠄃ちちは我われらを益えきするために、その聖󠄃潔󠄄きよきに與あづからせんとて懲こらしめ給たまへばなり。 11 凡すべての懲戒こらしめ、今いまは喜よろこばしと見みえず、反かへつて悲かなしと見みゆ、されど後のちこれに由よりて練習󠄃れんしふする者ものに、義ぎの平󠄃安へいあんなる果みを結むすばしむ。 12 されば衰󠄄おとろへたる手て、弱󠄃よわりたる膝ひざを强つよくし、 13 足蹇あしなへたる者ものの[*]履あゆみ外はづすことなく、反かへつて醫いやされんために汝なんぢらの足あしに直すぐなる途󠄃みちを備そなへよ。[*或は「履み挫く」と譯す。]

14 力つとめて凡すべての人ひとと和やはらぎ、自みづから潔󠄄きよからんことを求もとめよ。もし潔󠄄きよからずば、主しゅを見みること能あたはず。 15 なんぢら愼つゝしめ、恐おそらくは神かみの恩惠めぐみに至いたらぬ者ものあらん。恐おそらくは苦にがき根ねはえいでて汝なんぢらを惱なやまし、多おほくの人ひとこれに由よりて汚けがされん。〘338㌻〙
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16 恐おそらくは淫行いんかうのもの、或あるひは一飯いっぱんのために長子ちゃうしの特權とくけんを賣うりしエサウの如ごとき妄みだりなるもの起󠄃おこらん。 17 汝なんぢらの知しるごとく、彼かれはそののち祝福しくふくを受うけんと欲ほっしたれども棄すてられ、淚なみだを流ながして之これを求もとめたれど回復くわいふくの機をりを得えざりき。

18 汝なんぢらの近󠄃ちかづきたるは、火ひの燃もゆる觸さはり得うべき山やま・黑くろ雲くも・黑闇くらやみ・嵐あらし、 19 ラッパの音󠄃おと、言ことばの聲こゑにあらず、この聲こゑを聞ききし者ものは此この上うへに言ことばの加くはへられざらんことを願ねがへり。 20 これ『獸けものすら山やまに觸ふれなば、石いしにて擊うたるべし』と命めいぜられしを、彼かれらは忍󠄄しのぶこと能あたはざりし故ゆゑなり。 21 その現あらはれしところ極きはめて怖おそろしかりしかば、モーセは『われ甚いたく怖おそれ戰をのゝけり』と云いへり。 22 されど汝なんぢらの近󠄃ちかづきたるはシオンの山やま、活いける神かみの都みやこなる天てんのエルサレム、千萬ちよろづの御使󠄃みつかひの集會あつまり、 23 天てんに錄しるされたる長子ちゃうしどもの敎會けうくわい、萬民ばんみんの審判󠄄さばき主ぬしなる神かみ、全󠄃まったうせられたる義人ぎじんの靈魂たましひ、 24 新約しんやくの仲保なかだちなるイエス、及およびアベルの血ちに勝󠄃まさりて物もの言いふ灑そゝぎの血ちなり、 25 なんぢら心こゝろして語かたりたまふ者ものを拒󠄃こばむな、もし地ちにて示しめし給たまひし時ときこれを拒󠄃こばみし者ものども遁󠄅のがるる事ことなかりしならば、况まして天てんより示しめし給たまふとき、我われら之これを退󠄃しりぞけて遁󠄅のがるることを得えんや。 26 その時とき、その聲こゑ、地ちを震ふるへり、されど今いまは誓ちかひて言いひたまふ『我われなほ一ひとたび地ちのみならず、天てんをも震ふるはん』と。 27 此この『なほ一度ひとたび』とは震ふるはれぬ物ものの存のこらんために、震ふるはるる物ものすなはち造󠄃つくられたる物ものの取とり除のぞかるることを表あらはすなり。 28 この故ゆゑに我われらは震ふるはれぬ國くにを受うけたれば、感謝󠄃かんしゃして恭敬うやうやしきと畏懼おそれとをもて御心みこゝろにかなふ奉仕つとめを神かみになすべし。
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29 我われらの神かみは燒やき盡つくす火ひなればなり。

第13章

1 兄弟きゃうだいの愛あいを常つねに保たもつべし。 2 旅󠄃人たびびとの接待せったいを忘󠄃わするな、或ある人ひとこれに由より、知しらずして御使󠄃みつかひを舍やどしたり。 3 己おのれも共ともに繋つながるるごとく囚人めしうどを思おもへ、また己おのれも肉󠄁體にくたいに在あれば、苦くるしむ者ものを思おもへ。 4 凡すべての人ひと、婚姻こんいんのことを貴たふとべ、また寢床ねどこを汚けがすな。神かみは淫行いんかうのもの、姦淫かんいんの者ものを審さばき給たまふべければなり。 5 金かねを愛あいすることなく、有󠄃もてるものを以もて足たれりとせよ。主しゅみづから『われ更󠄃さらに汝なんぢを去さらず、汝なんぢを捨󠄃すてじ』と言いひ給たまひたればなり。 6 然されば我われら心こゝろを强つよくして斯かく言いはん 『主しゅわが助主たすけぬしなり、我われおそれじ。 人ひとわれに何なにを爲なさん』と。〘339㌻〙 7 神かみの言ことばを汝なんぢらに語かたりて汝なんぢらを導󠄃みちびきし者ものどもを思おもへ、その行狀ぎゃうじゃうの終󠄃をはりを見みてその信仰しんかうに效ならへ。 8 イエス・キリストは昨日きのふも今日けふも永遠󠄄とこしへまでも變かはり給たまふことなし。 9 各樣さまざまの異ことなる敎をしへのために惑まどはさるな。飮食󠄃いんしょくによらず、恩惠めぐみによりて心こゝろを堅かたうするは善よし、飮食󠄃いんしょくによりて步あゆみたる者ものは益えきを得えざりき。 10 我われらに祭壇さいだんあり、幕屋まくやに事つかふる者ものは之これより食󠄃しょくする權けんを有󠄃もたず。 11 大だい祭司さいし、罪つみのために活物いきものの血ちを携たづさへて至し聖󠄃所󠄃せいじょに入いり、その活物いきものの體からだは陣營ぢんえいの外そとにて燒やかるるなり。 12 この故ゆゑにイエスも己おのが血ちをもて民たみを潔󠄄きよめんが爲ために、門もんの外そとにて苦難くるしみを受うけ給たまへり。 13 されば我われらは彼かれの恥はぢを負󠄅おひ、陣營ぢんえいより出いでてその御許みもとに往󠄃ゆくべし。 14 われら此處ここには永遠󠄄とこしへの都みやこなくして、ただ來きたらんとする者ものを求もとむればなり。 15 此この故ゆゑに我われらイエスによりて常つねに讃美さんびの供物そなへものを神かみに献さゝぐべし、乃すなはちその御名みなを頌󠄃ほむる口唇くちびるの果みなり。 16 かつ仁慈なさけと施濟ほどこしとを忘󠄃わするな、神かみは斯かくのごとき供物そなへものを喜よろこびたまふ。 17 汝なんぢらを導󠄃みちびく者ものに順したがひ之これに服󠄃ふくせよ、彼かれらは己おのが事ことを神かみに陳のぶべき者ものなれば、汝なんぢらの靈魂たましひのために目めを覺さましをるなり。彼かれらを歎なげかせず、喜よろこびて斯かく爲なさしめよ、然しからずば汝なんぢらに益えきなかるべし。
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18 我われらの爲ために祈いのれ、我われらは善よき良心りゃうしんありて凡すべてのこと正たゞしく行おこなはんと欲ほっするを信しんずるなり。 19 われ速󠄃すみやかに汝なんぢらに歸かへることを得えんために、汝なんぢらの祈いのらんことを殊ことに求もとむ。

20 願ねがはくは永遠󠄄とこしへの契󠄅約けいやくの血ちによりて、羊ひつじの大牧者だいぼくしゃとなれる我われらの主しゅイエスを、死人しにんの中うちより引上ひきあげ給たまひし平󠄃和へいわの神かみ、 21 その悅よろこびたまふ所󠄃ところを、イエス・キリストに由よりて我われらの衷うちに行おこなひ、御意みこゝろを行おこなはしめん爲ために、凡すべての善よき事ことにつきて汝なんぢらを全󠄃まったうし給たまはんことを。世々よよ限かぎりなく榮光えいくわうかれに在あれ、アァメン。

22 兄弟きゃうだいよ、請󠄃こふ我わが勸󠄂すゝめの言ことばを容いれよ、我われなんぢらに手短てみじかく書かき贈おくりたるなり。 23 なんぢら知しれ、我われらの兄弟きゃうだいテモテは釋ゆるされたり。彼かれもし速󠄃すみやかに來きたらば、我われかれと偕ともに汝なんぢらを見みん。

24 汝なんぢらの凡すべての導󠄃みちびく者もの、および凡すべての聖󠄃徒せいとに安否あんぴを問とへ。イタリヤの人々ひとびと、なんぢらに安否あんぴを問とふ。

25 願ねがはくは恩惠めぐみなんぢら衆すべてと偕ともに在あらんことを。〘340㌻〙
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